文房具と遊ぶ

海外の文房具事情について、フランスの街角からお届けします

フランスにしか存在しないノート!?セイエス罫線ノートの謎に迫る

スポンサーリンク

 

こんにちは、クリポンです。
前回はノートの種類についてざっとお話ししました。そして今回はもう少し、フランスのノート事情に踏み込んだ内容をお届けしましょう。実はフランスにしか存在せず、しかも100年以上もの歴史をもつノートがあるんです。名付けて「セイエス罫線(けいせん)ノート」です。

セイエス罫線ノートについての雑学的知識

どんなタイプのノート?

セイエス罫線ノート(seyès)というのは、縦横に線がいっぱい入ったノートです。こんな感じに。

f:id:cripon:20200124000609p:plain

線で埋め尽くされていますね。細い横線が2ミリずつの間隔で引いてあり、さらに縦横8ミリずつ、太い線が引かれています。赤い線の左側には余白が作ってあり、ここにタイトルやページ、振り分け番号などを書きます。

セイエスという名前は、このノートの生みの親、ジャン・アレクサンドル・セイエス氏(Jean-Alexandre Seyès, 1855-1937)から取られています。セイエス氏はパリ郊外にあるポントワーズという街で、本や文房具を売る店を営んでいました。ある時、縦横に線がいっぱい入った独自のノートを考え出し、特許を取ったのが1892年。それ以来、彼の考案したノートは学生用として、フランスの多くの学校で取り入れられていきました。その名残と言いましょうか、現在も幅広く使われています。

こちらの記事では、セイエス罫線を含む、様々なタイプのノートについて紹介しています。 

www.criponparis.com

 

フランスの学校ではセイエス罫線ノートは必須なのか?

 実は数年前に、フランスの教育担当の大臣が「セイエス罫線のノートを、小学校に入りたての子供にも推奨する」と発言したことで、ちょっとした物議を醸し出したことがあります。この発言を問題視したのは、主に学校の先生たち。線が多すぎるこのノートは、6歳の子供には向かないという意見が、少なからず出たのです。
大臣が推奨した理由は、線が入っていることで、子供たちが正しく文字を書く助けになるということでした。しかし先生たちからは「線が多すぎると、小さい子供の場合、疲れて集中力が途切れやすい」、「自分の書いた文字が線に紛れて見づらくなる」などの意見が出ました。実際は、大臣は推奨すると言っただけで、強制したわけではなかったので、特にそれ以上の問題にはならなかったようです。

ところでこのタイプのノートは、フランスにしか存在しないとのこと。お隣のドイツやイタリアでは、子供達は違う形式のノートを使っているようです。私には、日本のような横線のみのノートの方が、すっきり見えていいように思うのですが、どうなんでしょうか。
セイエス罫線のノートは、最初は使いづらく感じますが、長く使っていると意外と慣れてくるものです。フランスでは一番手に入れやすいノートなので、私は日常的に使っています。

セイエス罫線ノートはこうやって書こう!

本来、ノートに引かれた罫線(けいせん)は、綺麗に書くための補助線の役割があります。それと同時に、整然と書かれることで、読み手にとっても理解しやすくなります。
セイエス罫線のノートは、アルファベットを正しく綺麗に書くための、練習ノートとして生まれました。今でもフランスの学校では、セイエス罫線のノートを使って、フランス語を綺麗に書くための授業があります。

簡単に書き方の規則を説明すると、大文字は縦3マス、小文字は縦1マス使って書きます。しかし、いくつかの小文字には例外があり、「d,t」などは2マス、「b,f,h,k,l」などは3マス使います。数字は2マスです。

f:id:cripon:20200126211953p:plain

 

実際に規則に従って書いてもらったのがこちら↓

f:id:cripon:20200126204710p:plain

 

一応、小学校で基本的な書き方を習うものの、授業中にノートを取るときは、文字の書き方に注意する余裕なんてありませんよね。まあ、こんな感じに↓ざっと書いていくようです。でもやっぱり練習したことは身につくもの、無意識のうちにも、規則にそって書いているのが分かりますね。

f:id:cripon:20200126204733p:plain

 

セイエス罫線ノートは鉛筆向きではない

セイエス罫線は、鉛筆書きには向かないノートです。私が日本にいた頃は、ノートはシャープペンを使うことがほとんどでした。シャープペンの文字は簡単に消せるから、楽なんですよね。
しかし、このノートに出会ってちょっと困りました。鉛筆・シャープペンの文字は、たくさんの線に埋もれて、見えずらくなってしまうのです。一行程度なら良いのですが、ノートいっぱいに書き込んだ時などは、シャープペンの薄い文字を目で追っていると、目が疲れてしまいます。

シャープペン、ボールペン、万年筆で書いてみました。 

f:id:cripon:20200126210628p:plain

個人的には、セイエス罫線のノートにおいては、ボールペンの字も読みにくさを感じます。結局たどり着いたのが、万年筆です。万年筆の文字なら、くっきりと浮かび上がり読みやすくなります。フランス人が万年筆をよく使うのは、このノートのせいなのかしら?私がこのノートを使うときは、ほとんど万年筆で書いています。

ノートに個性があるのは悪くない

線の多さに圧倒されるものの、こういう個性的なノートがあるのも面白いと思います。フランス語だけでなく、数学や物理など、どの教科もこのノートを使って勉強することが多いようです。数字などごちゃごちゃになりますが、ペン先が太めのものを使うと、いい具合に文字が読みやすくなります。ちなみにこの手のノートは、万年筆のインクが裏抜けしないものがほとんどです。インクのにじみなど気にせずに、思いっきり書けるのが良い点です。