増加する世界の紙の消費量、気になるノートの紙消費量は?
こんにちは、クリポンです。
近年では技術の進歩によりデジタル化が進んでいます。その影響もあってか、世の中では筆記することが減りつつあります。
子供の頃は、毎日何かしら書いていたのが、大人になった今は、ペンを使うのはたまにメモを取るときだけだったり。ほとんどのことは、スマホやパソコンで済んでしまいます。
世の中でペン離れが進むなか、ふと思うのは「ペンを持たなくなったのなら、紙の消費量は減ってきているのでは?」ということ。ところが驚くことに、世界の紙の消費量は年々増えているんです。
デジタル化は、紙の消費削減に貢献しないのか。果たして、ノートなど筆記用紙の消費量はどう変化しているのか・・・など、紙について気になる疑問に迫ってみました。
デジタル化が進む今だからこそ、紙の消費量について考えてみよう
世界で紙の消費量が増加している
デジタル化が進めば紙の消費量は減っていく・・・多くの方がそう思うのではないでしょうか。しかし世界で消費される紙の量は、年々増えています。
世界の紙消費量、そして日本とフランスの紙消費量をグラフで比べてみましょう。2013年から2017年までの統計です。
世界では5年の間に、4.4%紙の消費量が増えています。ホッと肩をなでおろすのは、世界全体では増加していても、日本では5年間に3.6%消費が減っていることです。
努力の成果でしょうね。増加傾向にある国が多いなか、日本で紙の消費削減が進んでいるのは嬉しいですね。ちなみにフランスでは、消費量はあまり変化していません。
今回の記事は、Food and Agriculture Organization (FAO)の資料「FAO Yearbook of Forest Products 2017 Forest product statistics」を参照しています。
紙消費大国の日本、フランスは?
次に世界の紙消費量を、国別に見てみましょう(2017年度)。
世界で最も紙を消費している国は中国。続いてアメリカ、日本と続きます。日本では紙の消費量が減ってきているものの、世界第3位に位置しています。
アメリカの半分以下の消費量ではありますが、日本は紙の消費大国なんです。
紙の消費量が増えている理由は?
世界で紙の消費量が増えているのはなぜなのか。気になる疑問に、もう少し踏み込んでみたいと思います。
情報・印刷用紙とそれ以外の紙類に分けてみる
ここで理解しやすくするために、紙全般を「情報・印刷用紙」と「情報・印刷用紙以外」に分けてみます。
情報・印刷用紙とは、主に印刷を目的とした紙です。新聞紙、書籍、雑誌、筆記用紙、コピー用紙、ポスター、チラシなど様々なものがあります。
情報・印刷用紙以外とは、衛生用紙(トイレットペーパー、ティッシュペーパーなど)や包装用紙、ダンボールなどのことです。
- 情報・印刷用紙・・・新聞紙、書籍、雑誌、筆記・図画用紙、コピー用紙、チラシなど
- 情報・印刷用紙以外の紙類・・・衛生用紙、包装用紙、ダンボールなど
情報・印刷用紙の消費量はどう変化している?
まずは情報・印刷用紙の消費量の推移を見てみましょう。
情報・印刷用紙の消費量は、世界全体で年々減少しています。日本やフランスをはじめ、多くの国で情報・印刷用紙の消費量は減ってきています。紙の消費量増加の原因は「情報・印刷用紙」ではなかったようです。
消費量増加の原因は「情報・印刷用紙以外の紙類」だった
では「情報・印刷用紙以外の紙類」はどうでしょうか。グラフで推移を見てみましょう。
先ほどの情報・印刷用紙とは逆に、こちらは増加傾向にあります。紙の消費量が増えている原因は、「情報・印刷用紙以外の紙類」にあったわけです。つまり衛生用紙や包装紙の削減を考えないと、紙の消費量は一向に減らないということです。紙の消費削減はなかなか簡単にはいかないようですね。
デジタル化が紙の消費削減に繋がっていない!?
デジタル化の落とし穴
さて、冒頭で「デジタル化は、紙の消費削減に貢献しないのか」と投げかけました。デジタル化が直接関係しそうなのは「情報・印刷用紙」であって、「情報・印刷用紙以外」ではありませんよね。
この2つについてもう一度確認をしておきます。
- 情報・印刷用紙・・・新聞紙、書籍、雑誌、筆記・図画用紙、コピー用紙、チラシなど
- 情報・印刷用紙以外の紙類・・・衛生用紙、包装用紙、ダンボールなど
先ほど見たように、「情報・印刷用紙」の消費量は減少傾向にあります。これはデジタル化が功を奏して、消費削減に成功しているからなんです。
でも喜んでばかりはいられません。情報・印刷用紙をさらに細かく分けて消費量を調べると、驚きの事実が見えてきます。
コピー用紙など、消費が減っていない紙がある
情報・印刷用紙を部類分けしてみましょう。
情報・印刷用紙はまず新聞紙と新聞紙以外の紙に分けられ、新聞紙以外の紙は、さらに塗工紙と非塗工紙に分けられます。
- 新聞紙
- 塗工紙・・・紙に塗料を塗って、加工したもの。紙の表面は滑らかで光沢がある。
ポスター、チラシ、カレンダー、パンフレット、写真集など - 非塗工紙・・・加工していない紙で、表面は荒くざらつきがある。紙の表面は光に反射しないので文字が読みやすく、書籍や筆記に向いている。
書籍、コピー用紙、筆記・図画用紙など
大まかに分けましたが、実際には、書籍や雑誌、チラシ、コピー用紙など一部のものは、必要に応じて塗工紙と非塗工紙を使い分けています。
さて、この3つの分類の中で、消費量が減少しているのは新聞紙と塗工紙です。実は非塗工紙に関しては、消費量があまり変わっていないんです。
新聞紙は、電子化により紙の消費量が大きく減りました。しかし非塗工紙である書籍やコピー用紙、筆記用紙などは、消費量があまり減少していません。つまりデジタル化が進んでいるにも関わらず、その影響をあまり受けていないことが分かります。
デジタル化により、さらに紙が必要になった!?
非塗工紙(書籍やコピー用紙、筆記用紙など)の消費量の推移をみてみましょう。
Forest product statistics(2017)の資料では、これらは「Other graphic papers, uncoated, woodfree (p.332-334) 」( (新聞紙以外の)非塗工印刷用紙で、化学パルプによる製造)に分類されると説明されています(p.28)。
先ほど見たように「情報・印刷用紙」全般が大きな減少傾向にある中、書籍やコピー用紙、筆記用紙の減り方は緩やかです。
近年、資料の電子化が進んでいます。でも結局のところ、紙に印刷して保存をすることがよくあります。日常生活においては電子資料ではなく、手元に紙の資料を必要とする状況は多々あるからですです。つまりはデジタル化が進むことで、逆に印刷の必要性が出てくるなど、新しい紙の使い方が生じているのではないでしょうか。
印刷用紙に関して言えば、デジタル化が必ずしも、紙の消費量減少に貢献しているわけではなかったのです。
FAOの資料の中では、書籍や筆記用紙はコピー用紙などと一緒に統計がだされています。今回はノートやメモ帳などの、筆記用紙自体の消費量変化については分かりませんでした。またいずれ調べてみたいと思います。
1ページづつ、大切に書いていきたいノート
生活の中で、気軽に資料の印刷をしますよね。考えてみれば、私の家だけでもコピー用紙の消費量はそれなりにあります。印刷は必要最低限でおこなうよう、気をつけようと思います。
この先、社会でペーパーレスが進められることを願っていますが、手書きが好きな私は、できればノートは使い続けていきたいという気持ちもあります。我ながら矛盾していると思いますが、無駄遣いをせずにノートの1ページ1ページを、大切に書き綴っていきたいです。