男と女「名詞の性」とは? 押さえておきたいフランス語

2021-06-25

こんにちは、クリポンです。
日本語になくてフランス語にあるもの。「名詞の性」がその一つがです。日本語に馴染んでいる身としては、なんだか奇妙なことのように思えますよね。

紀元前にはすでに名詞の性が存在しており、現在でもその名残が、世界の多くの言語でみられます。フランス語のように2つの性を持つ言語があれば、複数の性を持つ言語もあります。

フランス語を学ぶのなら知っておきたい!名詞の性についてお届けします。

 

名詞の性別って何? フランス語の基本文法

目次
1. 冠詞を見れば性が分かる

2. 性を知っておくべき理由は?

3. 場合分けして覚える「名詞の性」
   3.1 物や抽象的な事柄の場合
   3.2 人や動物の場合
   3.3 国名と都市名

4. 耳で覚えたい「名詞の性」

冠詞を見れば性が分かる

フランス語の名詞は性(genre)を持ち、男性名詞(masculin)と女性名詞(féminin)に分けられます。どちらの性であるのかは、名詞の前にある冠詞から判別できることが多いです。

冠詞に「un, le,…」などが付いていれば男性名詞、「une, la,…」などが付いていれば女性名詞です。

男性名詞

un crayon(アン クレイヨン : 鉛筆)、le château(ル シャトー : 城)

女性名詞

une gomme(ユヌ ゴム : 消しゴム)、la maison(ラ メゾン : 家)

 

注意 :

冠詞「le」や「la」の後に、母音または無音の「h」から始まる語が続く場合は「l’」となります。この形からは、どちらの性であるのか区別がつきません。

男性名詞

l’objet(ロブジェ : 物体)

女性名詞

l’histoire(リストワール : 歴史)

 

性を知っておくべき理由は?

特に会話をしたり文章を書いたりする時に、性を知っておく必要があります。性に従って、冠詞(le, la, un, uneなど)を選ばなくてはならないからです。それに名詞の前後におかれる形容詞や過去動詞の語尾は、性に合わせてしばしば変化します。

鉛筆(crayon : 男性名詞)と消しゴム(gomme : 女性名詞)を例に挙げてみましょう。
unとuneは「一つの〜」という意味の不定冠詞です。unは男性名詞の前に、uneは女性名詞の前につけ、それぞれ

  • un crayon(アン クレイヨン : 1本の鉛筆)
  • une gomme(ユヌ ゴム : 1個の消しゴム)

となります。

ここに形容詞「petit(e) : 小さい」を加えてみます。女性名詞に対してはpetitの語尾に「e」が付きます。

  • un petit crayon(アン プティ クレイヨン : 1本の小さな鉛筆 )
  • une petite gomme(ユヌ プティットゥ ゴム : 1個の小さな消しゴム)

petit(e)にように、性別により語尾が変化する形容詞はたくさんあります。そのため名詞の性を把握していないと、正しい文章が書けず、話せないのです。

 

 

場合分けして覚える名詞の性

名詞は驚くほど、たくさんの数があります。どうやって性を覚えれば良いのか、不安になりますよね。

基本的には、一つ一つ覚えていくしかありません。でも場合分けできるものもあり(常に例外がありますが…)、慣れていけば判断しやすくなります。とにかく声に出して書いて、使いながら覚えていきましょう。

 

1. 物や抽象的な事柄の場合

【その1】一つだけ決まった性を持つ名詞  

多くの名詞は、ただ一つの性を持ちます。なぜ男性なのか、女性なのかということに、深い意味はありません。

男性名詞 女性名詞
un crayon : 鉛筆(アン クレイヨン) une gomme : 消しゴム(ユヌ ゴム)
un oignon : 玉ねぎ(アン オニョン) une carotte : ニンジン(ユヌ キャロットゥ)
un fromage : チーズ(アン フロマージュ) une crème : クリーム(ユヌ クレーム)
un voyage : 旅行(アン ヴォワイヤージュ) une photo : 写真(ユヌ フォト)
un nombre : 数(アン ノンブル) une musique : 音楽(ユヌ ミュジーク)
un rêve : 夢(アン レーヴ) une idée : アイデア(ユヌ イデー)

 

【その2】男性名詞、女性名詞のどちらで扱ってもよいもの  

数は少ないですが、男性・女性の両方で、扱いが可能な名詞があります。名詞の意味も変化しません。

男性名詞 女性名詞
un après-midi : 午後(アン ナプレミディ) une après-midi : 午後(ユヌ アプレミディ)
un thermos : 魔法びん(アン テルモス) une thermos : 魔法びん(ユヌ テルモス)
un oasis : オアシス(アン ノアシス) une oasis : オアシス(ユヌ オアシス)

un après-midiとun oasisの発音は、名詞が母音から始まるためリエゾンになります。つまりunの「n」が次の母音に結びつき、一緒に発音されます。

 

一般名詞として使われるようになった「thermos」

thermosはご存知の方も多いと思いますが、有名な魔法びんメーカーの名前です。フランスではthermos社の魔法びんが有名なあまりに、メーカーに関係なく魔法びんを総称してしばしば「thermos」と呼ばれるようになりました。

魔法びんには「bouteille isotherme」という言葉もありますが、巷では簡単にthermosと言うことがほとんどです。

 

【その3】2つの性別で扱えるが、それぞれ意味が異なるもの

男性・女性名詞のどちらも存在しますが、性によって意味が変化します。

男性名詞 女性名詞
un mode : 様式、形式(アン モードゥ) une mode : 流行、モード(ユヌ モードゥ)
un poste : 地位、ポスト(アン ポストゥ) une poste : 郵便(ユヌ ポストゥ)
un manche :(道具の)柄(え)(アン マンシュ) une manche : 袖(そで)(ユヌ マンシュ)
un garde : 番人、ガードマン(アン ギャルドゥ) une garde : 保管(ユヌ ギャルドゥ)
un livre : 本(アン リーヴル) une livre : リーブル(単位)(ユヌ リーヴル)

 

【その4】単数と複数で、性別が変化するもの

意味は同じだけれど、単数形と複数形で、性別が変わる名詞があります。例えばorgue(オルグ : オルガン)やdélice(デリス : 快楽、悦楽)は単数では男性名詞、複数では女性名詞になります。

amour(アムール : 愛、恋)は、基本的には単数・複数で男性名詞です。しかし文学作品などでは、複数形が女性名詞として扱われることがあります。

 

2. 人や動物の場合

人や動物は、基本的に自然の性に従います。性別により異なる単語を用いるもの、同一単語だけれど語尾が変わるもの、共通の単語を用いるものなど、様々なケースがあります。

 

【その1】 男性・女性(オス・メス)で単語が異なるもの
男性名詞 女性名詞
un père : 父 (アン ペール) une mère : 母(ユヌ メール)
un garçon : 少年(アン ギャルソン) une fille : 少女(ユヌ フィーユ)
un frère : 兄または弟(アン フレール) une soeur : 姉または妹(ユヌ スール)
un coq : おんどり(アン コック) une poule : めんどり(ユヌ プール)
un canard : オスの鴨(アン キャナール) une cane : メスの鴨(ユヌ キャヌ)
un cerf : オスの鹿(アン セール) une biche : メスの鹿(ユヌ ビッシュ)

 

【その2】 男性・女性(オス・メス)で語尾が変化するもの
男性名詞 女性名詞
un ami : 友人(アン ナミ) une amie : 友人(ユヌ アミ)
un vendeur : 店員(アン ヴァンドゥール) une vendeuse : 店員(ユヌ ヴァンドゥーズ)
un coiffeur : 美容師(アン コワフール) une coiffeuse : 美容師(ユヌ コワフール)
un acteur : 俳優(アン アクトゥール) une actrice : 女優(ユヌ アクトゥリス)
un avocat : 弁護士(アン ナヴォキャ) une avocate : 弁護士(ユヌ アヴォキャットゥ)
un prince : 王子(アン プランス) une princesse : 王女(ユヌ プランセス)
un chien : 犬(アン シアン) une chienne : 犬(ユヌ シエンヌ)
un chat : 猫(アン シャ) une chatte : 猫(ユヌ シャットゥ)

 

【その3】 男性・女性で同じ単語のもの
男性名詞 女性名詞
un enfant : 子供(アン ナンファン) une enfant : 子供(ユヌ アンファン)
un médecin : 医師(アン メドゥサン) une médecin : 医師(ユヌ メドゥサン)
un professeur : 教師(アン プロフェスール) une professeur : 教師(ユヌ プロフェスール)
un ingénieur : エンジニア(アン アンジェニユール) une ingénieur : エンジニア(ユヌ アンジェニユール)
un élève : 生徒(アン エレーヴ) une élève : 生徒(ユヌ エレーヴ)
un pianiste : ピアニスト(アン ピアニストゥ) une pianiste : ピアニスト(ユヌ ピアニストゥ)

 

【その4】 動物のオス・メスにかかわらず、文法上では一つの性しか持たないもの

例えばワニ(crocodile)は男性名詞で、対応する女性名詞が存在しません。オスなら良いのですが、1匹のメスのワニのことも通常はun crocodileと言います。

でも「メスのワニ」と強調したい場合もありますよね。その場合は「femelle : メスの〜」をつけます。

  • un crocodile femelle : 1匹のメスのワニ(アン クロコディル フメル)

 

カエル(grenouille)は常に女性名詞です。「オスのカエル」と強調したいときは「mâle : オスの〜」を加えます。

  • une grenouille mâle : 1匹のオスのカエル(ユヌ グルヌイユ マール)

 

男性名詞 女性名詞
un crocodile : ワニ(アン クロコディル) une grenouille : カエル(ユヌ グルヌイユ)
un gorille : ゴリラ(アン ゴリユ) une girafe : キリン(ユヌ ジラフ)
un rossignol : ナイチンゲール(アン ロシニョール) une souris : ネズミ(ユヌ スゥリ)
un corbeau : カラス(アン コルボー) une araignée : クモ(ユヌ アレニエ)
un escargot : カタツムリ(アン エスカルゴ) une tortue : カメ(ユヌ トルテュ)
un saumon : 鮭(アン ソーモン) une sardine : イワシ(ユヌ サルディヌ)

 

 

3. 国名と都市名

国の名前にも性がある

語尾がeまたはesで終わるものは、ほとんどが女性名詞です。それ以外のものは男性名詞です。

男性名詞 女性名詞
Le Japon : 日本 La France : フランス
Le Canada : カナダ La Belgique : ベルギー
Le Portugal : ポルトガル L’Italie : イタリア
Le Congo : コンゴ La Chine : 中国

 

ただし例外として、語尾がeで男性名詞のものに

Le Cambodge, le Mexique et le Mozambiqueなどがあります。

 

都市の名には決まった性がない!?

文法上、都市名は男性名詞と女性名詞の、どちらで扱ってもよいことになっています。ただし傾向として、語尾がeやesで終わるものは女性名詞、それ以外は男性名詞で扱われることが多いです(例外もあります)。

 

男性名詞とされる傾向にあるもの

Paris
Lyon
Tokyo
New York
Oslo

 

女性名詞とされる傾向にあるもの

Marseille
Lisbonne
Rome
Londres
Venise
Bruxelles

 

「ル・アーブル(Le Havre)」のように、冠詞を含む2語からなる都市名がいくつかあります。この場合は、冠詞が示す性がそのまま都市名の性となります。

Le Havre : ル・アーブル(フランス)
La Rochelle : ラ・ロシェル(フランス)
Le Caire : カイロ(エジプト)
La Nouvelle-Orléans : ニューオリンズ(アメリカ)

 

耳で覚えたい「名詞の性」

性を覚えるのはなかなか大変で、時間がかかります。どのようにして覚えてもいいのですが、最終的には耳で覚えて、感覚的に馴染んでしまう方が良いと思います。名詞の性を一つ一つ頭で思い起こしていると、スムーズな会話にはなりません。

 

耳で覚えるとは?

耳で覚えるとは、冠詞と名詞を一セットとして、言葉の響(ひびき)で覚えてしまうことです。
例えばtable(テーブルの意)を挙げます。単に「table(ターブル)」と覚えてはダメなんです。常に冠詞をつけて「la table(ラ・ターブル)」または「une table(ユヌ・ターブル)」と、一単語のようにして覚えるようにします。

「ラ・ターブル、ラ・ターブル・・・」と何度も唱え、その響きを把握するようにします。すると「le table(ル・ターブル)」と言った時には、違和感を覚えるようになります。

 

「ラフランス」は「la France」

話が逸れますが、ラフランスと呼ばれる洋梨をご存知でしょうか。フランスから来た品種であり、日本だけで呼ばれている名称です。

ラフランスは本来書くなら「ラ・フランス」、つまり「la France」です。国名のフランスは女性名詞なのでlaが付いています。

ところで果物「ラフランス」は、私たちにとって聴き馴染みのある名なので、「ル・フランス」と変えると違和感を覚えます。ラフランスで覚えてしまっているので、「ルフランス」なんて口に出してしまうことはないですよね。身についていればいちいち頭で「男・女のどちらだっけ?」と考えなくても、スラスラと口をついて出てくるのです。

ラ・ターブルも同じことなんです。男性とか女性とか考えずとも「ラ・ターブル」で一度聞き覚えてしまえば、それ以外には考えられなくなるのです。

 

大切なのは間違いを恐れないこと

文法上の規則というのはいろいろあります。でもあまりとらわれ過ぎないことも大切です。文法の間違いが恥ずかしくて口を閉ざすよりも、思い切って喋って、経験を積んでいった方のが会話の上達が早いです。
読み書きに関しては独学でもできますが、会話だけは、とにかく誰かと会話する機会を増やさないことには上達はあり得ません。口に出してみて「あれ、違うかも?」と気づき、時には誰かが直してくれる時もあります。今だに名詞の性など私もよく間違いますが、恥ずかしい経験をしながら覚えていくのがいいのだと、自分に言い聞かせています。