カヴェコ万年筆【スプラ】大型ペン先&組み立て式の軸! 個性あふれるユニークペン
こんにちは、クリポンです。
筆記具の軸は、素材として主なものにプラスチック、金属、木材があります。金属軸で多いのはアルミニウムかステンレスです。扱いやすいのがこの2つですが、それ以外のものを試したくて、真鍮製と銅製の軸を購入してみました。
結果として、金属素材の違いがこんなに面白いとは思っていませんでした。アルミニウムやステンレスとは、色はもちろんのこと質感も違います。マニアックですが手に取り見ているだけでも楽しいです。
メーカーは色々とありますが選んだのはカヴェコ。ちょっと変わった個性的万年筆「スプラ supra」ブラス軸(真鍮)をレビューします。
KAWECO Supra 金属の変化が楽しい!ブラス軸の万年筆
金属の違いで楽しむカヴェコの筆記具
カヴェコ「スプラ」万年筆のエコブラス軸です。
金色のまばゆい光を放ち、机上に転がっている他のペンを差し置いての存在感があります。
カヴェコには金属製の筆記具が多く揃っています。金属の違いで楽しむことができるのもカヴェコの特徴の一つでしょう。
よくあるアルミニウム、ステンレススチールの他、ブラス(真鍮)、カッパー(銅)、ブロンズ(青銅)の軸もあります。
素材の異なる金属軸に前から興味があって、特に気になっていたのがカヴェコの兄弟モデル「スプラ」と「リリプット」。ブラス(真鍮)とカッパー(銅)を並べたら可愛いだろうなと思っていました。そう頭の片隅にあるだけで数年経ってしまいましたが…。
左がスプラのブラス軸、右がリリプットのカッパー軸です。
ブラスやカッパーの面白さとは
ブラスやカッパーの面白さは、なんと言っても質感を楽しむことでしょうか。使い初めの光沢のある美しい色もさることながら、徐々に錆びていく経年変化も味わいがあります。
でも錆びてくすんでしまうのが嫌な方もいらっしゃるでしょう。ブラスの光沢を保ちたければ、アクセサリーなども同様ですが、毎日拭いて手入れをするという手もあります。時にクリーナーを使えばピカピカのまま維持できますし、その辺は思いのままです。
ただ手入れは多少面倒でもあります。見た目が変化していくのを望まないのであれば、アルミニウムかステンレス素材のものを選んだ方が扱いは楽です。
4種の軸から選べるスプラ
スプラの万年筆は4種類の軸から選べます。素材別には3つ、ブラス、アルミニウム、ステンレススチールがあります。
アルミニウム軸の色は黒で、表面はアルマイト処理がされています。アルミニウムということで20g弱と、他の軸に比べて扱いやすい重さです。
ステンレス軸は2種類あり、一つはステンレスらしさのあるメタリックグレーの軸、もう一つはファイヤーブルーと呼ばれる、火であぶって表面を青色に変化させた軸です。
超個性的!「スプラ」の特徴は?
キャップを閉めたスプラはまるで筒のよう。あまり見かけない形の万年筆です。
いや、形だけではなく、あらゆるところで個性的なんです。「普通の万年筆」とは言えないところがあって、好き嫌いが分かれそうな気がします。でも個人的にはピッタリと好みにはまってしまい、眺めて握って書いて全てに満足な万年筆です。
ここではスプラの3つの個性について挙げてみます。
1. 重さにびっくりなブラス万年筆
大きさについてはシグノより軸が少し太めで短いものの、大体普通なのですが…。
驚くのは重さです。インクの入ったコンバーターを含めて、なんと53gあります。キャップを外すと少し軽くなりますが、それでも43gです。
シグノが12gであることを考えると、結構な重さがあることが分かります。
ここまで重いと使いにくいかなと不安でしたが、杞憂に終わりました。重い軸に慣れていることもありますが、握りやすく重さのバランスも心地よく、個人的には疲れを感じない軸です。
重い軸は重さを利用して楽に筆記できると言いますが、まさにそんな感じです。ただキャップを後ろにはめるとさすがに重すぎますね。
スプラはブラスとステンレス軸はかなり重めですが、アルミニウム素材のブラック軸は20gを超えず比較的軽めです。重さが苦手な方にはこちらの方が扱いやすいかもしれません。
2. 貫禄のある大きなニブ
カヴェコの万年筆は、ドイツの老舗ペーター・ボック社(Peter Bock)のニブが使われています。
ニブの製造で有名なボック社は、1939年にペーター・ボック氏のもと家族経営により始められました。老舗となった現在はボック社製のニブを使用するブランドは世界中に存在し、カヴェコもその一つです。
ボック社のニブには色々なサイズがありますが、カヴェコで主に使用されているのは060番と250番です。
左がニブ060番(リリプット)で右が250番(スプラ)。見ての通り250番は大型ニブになります。
カヴェコ万年筆はほとんどが060番であり、250番が使用されているのはスプラとカヴェコオリジナル250のみです。
ちなみにカヴェコオリジナル060というモデルもありますが、違いはニブにあります。
大型ニブは小型のものに比べて、まず見た目に圧倒され、書く時のダイナミックな感触が気持ちいいです。ニブは大小どちらが良いというものではありませんが、両方使って違いを楽しむのが良いのだと思います。
3. 軸の長さを好みで選べる!
スプラの万年筆は、軸の長さを変えられる面白いペンです。
キャップを含めて4パーツに分解できます。
ネジ式で簡単に付け外しでき、好みでこれらを組み合わせます。
重量のある万年筆なので、長さだけでなく重さも調節できるのが利点です。と言ってもそんなに選択肢があるわけではないのですけれどね。
1) 長い軸バージョン
私が常用しているのは、キャップは外して、残りの3つをつなげた状態です。キャップ無しでの重さは43g(コンバーター付き)あります。
後部にキャップを付けることもでき、その場合は結構な長さと重さ(53g)になります。
いちいちネジ式キャップを後部に取り付けるのが面倒で(笑)、私はキャップを外したまま書いています。それにバランス的にもキャップ無しの方が握りやすいです。
2) 短い軸バージョン
軸の一部を省いて、短くすることもできます。
コンパクトになって外出時に携帯するのには良さそうです。軸がちょっと短いので、キャップを後部に取り付けるとちょうど良い長さになります。
重さはキャップ無しだと32g、有りだと42gになります。
長さ変更で標準コンバーターが使えない!?
コンバーターに関する注意点があります。
カヴェコの万年筆は国際規格のコンバーターを採用しており、スプラの軸の長さがフルの時は、標準の長さのコンバーターが使えます。
しかし軸を短くすると、ミニコンバーター(カヴェコスポーツ用)でないと軸内に収まりません。あるいはカヴェコのカートリッジのような短いものなら使用可能です。
上の写真で3を使わずに2と4を繋ぐと、コンバーターの端まで長さが足りないことが分かります。
写真で使っているコンバーターはファーバーカステルのものです。互換性があるので問題なく使えます。
詳しくはこちらをどうぞ :
スプラで試し書きをしました。
ノートはクレールフォンテーヌのアージュバッグ、インクはファーバーカステルのディープシーグリーンです。
Fニブですが結構太めです。Mと迷ってFにしたこともあり太めなのは構わないのですが、リリプットのMニブと太さが全く同じで驚きました。ニブが大きくなると線幅も太くなるということなのか…どうなんでしょうね。
ブラス :
ブラック(アルミニウム) :
ステンレススチール :
ファイヤーブルー(ステンレススチール) :
こちらの記事もどうぞ :
変化の速さが違う真鍮と銅
ブラス製品はアクセサリーなどを持っていたことがあったものの、筆記具は初めてでしたがやっぱりいいですね。また増やしてしまいそうです。早速調子に乗ってブラスの鉛筆削りをいくつか買い揃えてしまいました。
スプラは当分は金ピカのままで使っていこうと思い毎日布で拭いていますが、手入れしていれば光沢を保てます。ただ銅製のリリプットは拭いていても表面が日々変化していて、金属によって性質が異なるのは興味深いです。
家にある金属クリーナーですがいつかスプラとリリプットに使ってみようと思います。表示されているcuivreは銅で、laitonは真鍮です。
フランスで一般的な製品ですが、1911年から存在するとのことでレトロなデザインがなんとも可愛いです。