初めての万年筆! カートリッジとコンバーターの違いや互換性
こんにちは、クリポンです。
風変わりなペンである万年筆。100年以上も前のシステムを引き継ぐ筆記具は、万年筆くらいでしょうか。わざわざ自分でインクを入れたり、ペン先を洗ったりしなければならず、便利なペンが多く存在するこの時代に、なぜ万年筆を使うのか?って思いますよね。
万年筆は手間暇かけて使っていけば、どんどん自分好みのペンに育っていきます。他のペンにはないアナログ的な面白さが、多くの人を惹きつけるのかもしれません。
万年筆を使ってみたい!でも万年筆のインクって、どう扱えばよいのか…初心者にとって最初は分からないことだらけです。
そんな時のために、万年筆のインクを使うための必需品、カートリッジとコンバーターの違いや選び方についてお伝えします。
万年筆の使い方! 押さえておきたい「カートリッジとコンバーター」
どちらを選ぶ? カートリッジとコンバーターの長所・短所
多くの人が挙げる、万年筆を使いたくなる理由の一つは、好きなインクを入れられることです。
現在、驚くほどの数のインクが、世界中で販売されています。自分の欲しい色を探し始めたら、あれもこれも気になり欲しくなってしまうでしょう。インクの世界は、それほどに種類豊富で充実しています。
万年筆のインクを補充するには2つ、カートリッジまたはコンバーターを使う方法があります。
手軽に使いたいならカートリッジがおすすめです。すでにインクが注入されており、万年筆に装着するだけで、すぐに使用可能となります。
他方、コンバーターを使う場合は、自分でインクを注入するところから始めなければなりません。
一見、カートリッジの方が便利で良さそうですが、双方ともに、長所と短所があります。カートリッジかコンバーターか、どちらを選ぶかは好みによります。それぞれ長所と短所を踏まえた上で、ケースバイケースで選ぶのが良いでしょう。
カートリッジの長所と短所
長所
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短所
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コンバーターの長所と短所
長所
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短所
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カートリッジとコンバーターの選び方
カートリッジ・コンバーターの互換性
万年筆のカートリッジやコンバーターは、どれでも良いというわけにはいかず、そこが面倒なところです。適当に選んでしまうと、万年筆に装着できない!なんてことも起こります。
2つのタイプあり
カートリッジやコンバーターには2つのタイプがあります。それは国際規格とされる共通の形をもつものと、メーカー独自の規格をもつものです。
1. 国際規格をとるメーカーどうしならば、互換性があります。その場合、万年筆とカートリッジ(又はコンバーター)のメーカーが異なっていても使用できます(例外もあり)。
2. 独自規格をとるメーカーでは、万年筆と同メーカーのカートリッジ(又はコンバーター)を揃える必要があります。そうでなければ、形が合わず装着できません。 |
以下に詳しく、独自規格と国際規格を採用するメーカについてそれぞれ挙げてみます。
1. 独自規格をとるメーカー
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*1アウロラについて
アウロラはパーカーと互換性があります。というのも、アウロラは過去に万年筆のシステム改良するときにパーカーの方式を採用しているからです。
パーカーのロングカートリッジが使えるほか、コンバーターD(回転式)が使えます。ただしHASTIL(アルティル)に関しては、パーカーコンバーターS(スライド式)が適応します(多分MAGELLANO[マゼラン]も)。
*2 シェーファーについて
シェーファーのモデル「VFM」は国際規格のショートカートリッジしか使えません。
2. 国際規格をとるメーカー
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*3 カヴェコについて
カヴェコは国際規格をとりますが、カヴェコスポーツに関しては、ミニサイズのコンバーターでないと軸内に収まりません。
またリリプットはコンバーターが使えず(軸がとても短いので)、カートリッジ専用モデルです。
*4 トラベラーズカンパニーについて
ブラス万年筆はカートリッジ専用モデルです。軸が短いため、コンバーターを入れると閉まりません。
以下に挙げるのは、国際規格のカートリッジを販売するインクメーカーです。
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互換性は完璧ではない!?
一般には国際規格どうしなら互換性があるとされます。ただしメーカー間で必ずしも形が一致しているわけではないことを付け加えておきます。
上記の国際規格採用メーカーのリストで、例えばフランスのウォーターマンはドイツ系メーカーとは互換性がないとした方が良いです。
ドイツ系とはペリカン、ファーバーカステル、カヴェコ、シュナイダー、スタビロ、オンライン等です。ドイツ系どうし内では互換性があるのですが、ウォーターマンとは相性が悪いです。ファーバーカステルにウォーターマンを一応装着できるものの、外れやすいといったことがあります。
国際規格のカートリッジでも、メーカーどうしの相性があるようです。必ずしも形がぴったり合うとは限りません。この辺はいろいろと試してみる必要がありますね。
インク補充の時に注意したいこと
万年筆は自分でインクを選んで入れられる、ユニークなペンです。 それだけに、インクの扱いに関して、デリケートな面もあります。万年筆のインクを使うにあたって、次の3つの点に注意しておきましょう。
1. 使用するインクの色やメーカーを変えるときは、一度万年筆を洗浄する。 2. 同じメーカーの同じ色を使い続けるときでも、2〜3ヶ月に一度洗浄しておくと、良い状態で万年筆を保てる。 3. インクは絶対に混ぜない |
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海外滞在時は、万年筆を水道水で洗わない方が良い?
海外の硬水に注意
日本では、万年筆洗浄には水道水を使うとされています。それは日本の水道水が、軟水であるからできることなんです。
海外では、水道水が硬水である地域が多くあります。硬水にはミネラルが多く含まれていますが、実はこのミネラルが厄介。万年筆を硬水で洗うと、ミネラルが残って石のように固まり、ペン先を詰まらせる原因になりかねません。
硬水がもたらす弊害
私の住むフランスの水道水は硬水です。普段から、硬水には本当に頭を悩まされています。台所や洗面所など、水回りはすべて、あっという間にミネラルが溜まり固まっていきます。
例えばスチームアイロンに水道水を入れて使っていると、すぐにスチームの穴にミネラルが詰まって、蒸気が出なくなります。そのため、アイロンなど水を使う機械は、スーパーに売っている、ミネラルを除いた水(掃除用水として売られている)を使います。
しかし洗濯機や食洗機などは、水道水を使わざるを得ません。そのため、定期的にミネラルの除去をしないと、故障の原因になってしまいます。
硬水では万年筆を洗わないのがベスト
海外で万年筆を洗浄したい場合は、まずその土地の水道水が軟水・硬水のどちらであるか、確かめてくださいね。硬水である場合は、短期滞在であるならば、なるべく水道水での洗浄を避けた方が良いでしょう。
でも海外に長期滞在する時には、万年筆を洗浄する必要もでてきます。その場合はミネラルを除去した水を購入し、洗浄するのが無難だと思います。ミネラルを除去した水は、スーパーの掃除コーナーや工具コーナーなどに置いてありますよ。ちなみに販売されている飲料水は硬水の場合が多いので気をつけてくださいね。
カートリッジ・コンバーターを使い分けて楽しんで!
カートリッジやコンバーター、どちらを使うのかは好みがあり、使いやすさの度合いも人それぞれです。2つともに長所があるので、状況によって使い分けている方が多いのではないでしょうか。
私は外ではカートリッジ、家ではコンバーターを使うことが多いです。カートリッジは、色の種類がもっとたくさんあれば、もっと使いたいところなんですが。あるインクに興味があっても、量が多いインクボトルを買うのにいつも躊躇してしまうんです。こういうときに、同色のカートリッジ版があれば試しやすいのに…あまりないのが残念です。