ヴィスコンティ「ゴッホ・コレクション」美しさに惚れ惚れする!宝石のような万年筆
こんにちは、クリポンです。
世界には多くの文房具ブランドがあります。面白いもので、それぞれ拠点とする国の性質というか雰囲気みたいなものが感じられることがありませんか。
例えばイタリアのものはしばしば、鮮やかかつ大胆な色使いが目を引きます。その上センスも良くて。こういった色彩感覚ってやはりお国柄なのでしょうね。
今回は鮮やかさが見事な!ヴィスコンティ「ヴァン・ゴッホ コレクション」万年筆をレビューします。
Visconti「 Van Gogh collection」世界で人気!その秘密は?
イタリアらしい!色鮮やかな万年筆
ヴィスコンティのヴァン・ゴッホ コレクションから万年筆「自画像」です。

イタリアを感じさせる、色の美しい軸です。
イタリアブランド「ヴィスコンティ」は1988年にフィレンツェにて、万年筆収集家であったダンテ・デル・ヴェッキオとルイージ・ポーリにより設立されました。
ヴィスコンティは高級筆記具ブランドとして知られ、セルロイド(20世紀前半によく利用されていた)を再発見するなど伝統を重んじる一方、高度な技術で数々の新たな試みに挑戦しています。
ヴィスコンティのペンを目にするとその美しさに思わずため息が出ます。洗練された色使いやデザインにヴィスコンティを感じ、眺めて手に取って…と一向に飽きません。いや、手に取らずとも、お店で眺めているだけでも楽しくて、いいなあとうっとりしながら眺めています。
ヴァン・ゴッホ コレクション
オランダ出身の画家、フィンセント・ファン・ゴッホは色彩豊かな絵を多く残しています。ヴィスコンティがゴッホにオマージュを捧げた「ゴッホ・コレクション」は2001年に始まりました。
ゴッホ・コレクションでは選んだ油絵をそれぞれ軸のモチーフとしています。絵のタイトルがそのまま軸名となっているので、どの絵が基となっているのか簡単に分かります。

これまでにいくつものバリエーションが登場し、廃番となったものもあれば後に新作として加わったものもあります。どれだけの種類が存在したのか、ちょっと把握できませんでした。ただ現在市場に出ているものだけでも結構な種類があります。
ゴッホコレクションは万年筆の他、ボールペン、ローラーボールもあります。
ファン・ゴッホか、ヴァン・ゴッホか…
脱線しますが、彼の名前「Vincent van Gogh」の「V」は言語によって発音が変わります。例えば英語風に発音すると「ヴ」と濁ります。
しかしゴッホの出身であるオランダ語では濁らないため、尊重して日本語でも「フィンセント・ファン・ゴッホ」と明記されることが多いです。
しかしヴィスコンティの商品に関してはどこのショップでも「ヴァン・ゴッホ」と明記されるのは、これはヴィスコンティがイタリアを拠点としていて、イタリア語的な発音をもとにしているからなのでしょう。
1枚の絵を凝縮した不思議なデザイン
ゴッホ・コレクションのうち、私が選んだ軸は水色を基調とした「自画像」です。

ゴッホが描いた自画像は複数存在しますが、ヴィスコンティが選んだのはこちらの1枚です。

1枚の絵を軸にぎゅっと凝縮し閉じ込めたような、不思議なデザインです。こういうアイデアが製品となるところがなんとも面白いです。
軸は18面にカットしてあり、立体感を出す効果もあって色に深みが出ています。

角度により18の各面はキラキラと光り、豪華な印象を与えます。
軸の素材はアクリル樹脂で、微妙な色合いのマーブル模様を出すのに、ヴィスコンティ独自の技術が使われています。
実は面白いことに軸の模様は1本1本異なり、同じものは2つと存在しません。全ての軸の模様は偶然により作られ、自分だけが持つ特別な1本となります。
キャップの内側にも模様が入っているとは粋ですね。

ポンテ・ヴェッキオにヒントを得たクリップ
クリップの根本はバネ仕掛けになっていて、開きやすい上になかなか頑丈です。

このアーチ型クリップは、フィレンツェにあるヴェッキオ橋(ポンテ・ヴェッキオ)からインスピレーションを受けたものだとか。こちらです。

ローマ帝国の時代に作られ、1345年に再建されたものが現在も残っています。
3つ連なる同型のアーチが印象的な橋です。クリップの形はここから来ているのですね。
キャップは磁石仕掛けで簡単にロック
ゴッホ・コレクションのキャップには、マグネティック ロックが使われています。これはキャップをかぶせる時に磁石の力を利用する方法で、ヴィスコンティが開発したものです。
磁石の作用により、力を加えることなくキャップが引き寄せられるようにパチンと閉まります。自動で蓋が閉まる感じで楽です。逆にキャップを外すときは、磁石に反する力がほんのちょっといりますけれどね。
キャップにはめられているシルバーリングにはロゴが刻まれています。

リングの裏側にはVan Goghとあります。

もう一つ、天冠にはVの字マークが入っています。

ニブの素材はスチール
ヴァン・ゴッホに採用されているのはスチールニブです。

スペシャル・エディションと呼ばれる金色ニブのバージョンもありますが、こちらも素材はスチールです。
ニブの太さはニブの色によって多少違いがあり、シルバーニブモデルはEF・F・ M・ Bの4つから選べます。一方金色ニブモデルはF・ M・ Bの3つのみになります。
私のペンはFニブです。

ヴィスコンティのニブはBock社のものを使用しており、カヴェコやファーバーカステルと同じです。カヴェコのように簡単にニブが外せて、交換できるのも嬉しい点です。
国際規格を採用するヴィスコンティ
私の万年筆はコンバーター付きでした。

ヴィスコンティは国際規格を採用しているので、同じく国際規格のコンバーターやカートリッジも使えます。たとえヴィスコンティのコンバーターを持っていなくても、他社のものでも使えるのはいいですね。
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カラフルなものが多い海外製品
個人的な印象では日本の文房具は全体に落ち着いた色合いで、ヨーロッパはカラフルなものが多いように思います。ネオンカラーなんかが出てくるのは海外です。それに日本の文房具メーカーが海外展開する場合、カラー選択に明るい色が加わることはよくあります。
ただ、カラフルなものが多いと一口に言っても国ごとに個性があるもので、フランス製品に慣れているとイタリア製品の色使いの華やかさに驚いたり目を奪われたりします。明るい色のものが結構好きなのでいいなあと思うけれど自分にはなかなか似合わず。こういう色が似合う自分になりたい…なんて思うところです。