エルバン「ティーブラウン」暖かく深みのある紅茶色インク
こんにちは、クリポンです。
普段はメインの色に青系インクを使うことが多いです。私にとって一番落ち着くのがこの色で、黒よりも青色派です。
でもたまには他の系統の色も使ってみたくなるもので、今は個人的に静かな茶色ブームが来ています。茶色の場合使い切る自信がなくて大ボトルで買うつもりはないのですが、小瓶でいくつか試してみようと思っています。
今回は暖かみのある色が素敵な、エルバンのインク「ティーブラウン」についてお届けします。
お茶を飲みながら書きたくなる! HERBIN ink「Lie de thé」
美味しそうなネーミング
エルバン「ティーブラウン」のミニボトルです。
35色あるエルバンのトラディショナルインクには、数種類の茶色が存在しています。これらは視認性も悪くなく、ノートでメインの色にするなど、何かと使えそうな色ばかりです。
エルバンの茶色は偶然か意図してなのか、揃って美味しそうな名前が付けられています。例えばティーブラウン、アイランドカフェ、ココアブラウン。香り立つようなネーミングにそそられて、書きながら一杯飲みたくなりそうです。
いつも可愛い!エルバンインクのラベル、ティーポットの絵です。
世界には実に様々なお茶があります。一口にティーブラウンと言っても千差万別の色があるわけで、この名だけからどんな色合いなのかを把握するのは難しいです。
とは言え、ティーではなく…ティーポットの色がヒントを与えてくれているのですけれどね。
ほのかに黄色味のある茶色
エルバン「ティーブラウン」はこのような色です。
落ち着いた色で、ほのかに黄色が感じられる暖かみのある色です。それに色濃いとは言えず淡さがあります。瓶のラベルにある、ティーポットのこげ茶色のような黒っぽさはありません。
使用する紙の色、例えばホワイトかアイボリーかによって、色の印象が変わります。白い紙に書くと黄色味がより目立つためか、ほんの少し明るいトーンになるように思います。写真で使用している紙は薄いアイボリー色です。
ティーブラウンと名付けられているものの、個人的にはモカと言う言葉がピッタリのように思います。なんかコーヒーっぽいと言うか。いずれにせよ、コクのある美味しそうな色です。
これから秋冬にかけて寒い季節、紅茶かコーヒーでも飲みながら、ゆったりと流れる時間の中で書きたい色です。
Lie de Théの意味は?
いつも詩的なタイトルが気になるエルバン、今回もまた独特な名前が付けられています。
エルバンによれば「オリエンタルなお茶を思い起こさせる、深く微妙な色合いを持ったブラウン」と解説されています。
仏語のLie de Théとはティーブラウンの色のこと、とそうではありますが、もう少し意味を探ってみたいと思います。
lieとは澱のこと
lieとは澱(おり)のことで、澱とは液体中の沈殿物のことです。特にワイン(vin)の澱を「lie du vin」と言い、日常よく耳にします。
文法的にはduは部分冠詞と言い「〜の一部である、属する」といった意味があります。lie du vinはワインに属するところの澱、つまりワインからできる澱なんてところでしょうか。
このlie du vinから転じたのがlie de vinであり、この場合は澱の色のことを指し示し、ワインの澱の色「ワインレッド」を意味します。
直訳すれば「お茶の澱の色」
lie de vinがワインの澱の色のことならば、lie de théはお茶(thé)の澱の色ということになります。
しかし一般にlie de théという表現をフランスではしません。なのでこれはエルバンの造語なのでしょう。きっとフランス人らしくワインの美しい澱の色を思い浮かべながら、お茶(たぶん紅茶)に関しても、カップやティーポットの底に色濃く溜まった深い色を想像したのでしょうね。
こういった意味があるからなのか、英語圏ではこのインクをTealeaf Brownと訳して売っているところもあります。
30mlのボトルです :
10mlのボトルです :
カートリッジです :
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紙・万年筆で印象が変わりやすい色
黒っぽいこげ茶を想像していたのですが割と明るめの色でした。使用する紙や万年筆によって色の感じが変わり、こげ茶から明るいキャラメル色まで楽しめます。秋の夜長に気分を変えて、いつものノートを茶色で書いてみるのも良さそうです。