カヴェコ「ディア2」の万年筆ニブは小さい!?気になるペン先事情
こんにちは、クリポンです。
前回に引き続き万年筆のペン先交換についてです。以前ご紹介したカヴェコのディア2について、巷(海外)でチラホラと話題にされることがあります。それは全体のバランスからしてニブが小さすぎないかということです。
個人的にはディア2のニブの大きさは、さほど気にするほどでもないと思います。でも面白いものでネット上では解決法が示されていて、その写真を見ていたら自分も試してみたくなりました。確かにニブを少し大きくすると見た目の印象が変わります。
今回は海外ではチラホラと話題になる!?カヴェコ・ディア2のペン先事情についてお届けします。
KAWECO DIA2 ボックの大きめニブに換えるとどうなる? 書き味は?
ディア2のニブは小さすぎる!という意見あり
こちらの万年筆を見て皆さんは何か感じますか。こうやって見ればごく普通の万年筆ですね。

写真はカヴェコ「ディア2」です。この万年筆について、軸に対してニブが小さすぎるのではという意見があります。
どうなんでしょうね…言われなければこういうものだと思うし、言われてみればちょっと小さいかなという気もしてきます。
海外ではディア2のニブが小さすぎるという問題に対し、誰もが簡単にできる一つの解決法が知られています。それはボック社の大きめニブのユニットを購入して付け換えるというものです。
前記事に書いたようにカヴェコのペン先ユニットはネジ式であり、ほとんど手間要らずで交換できます。
ボック(BOCK)とは ?
ボックはニブ製造で有名なドイツの会社です。多くの万年筆メーカーにおいて、ボックのニブが採用されおり、例えばグラフ・フォン・ファーバーカステル、ヴィスコンティ、S.T.デュポン、シェーファー、モンテグラッパなどがあります。
そしてカヴェコの万年筆ニブもボック製です。ニブの表面にはカヴェコのロゴが刻まれているため、ボックの製品だとは知らない方が多いかもしれません。
カヴェコのロゴが入れられたボック製ニブ。

ボックのロゴが入れられたニブ。ロゴ以外は見た目が同じです。

ボックのニブには複数のサイズが揃っています。カヴェコで採用しているのは060番がほとんどで、250番はカヴェコオリジナル250とスプラのみです。そのためカヴェコで購入できる換えペン先は060番と250番のみになります。
日本では手に入れにくいかも
実は日本ではボックのニブをネット販売しているところがないようです。どこかの実店舗にない限り海外のネットショップで購入することになります。ちょっと面倒な上に高い送料がかかるため、今回の記事はあまり役立つものではないかもしれません。
ボックニブの販売について知られている所ではイギリスのBeaufort inkやスペインのFountain pen nib(FPnibs)などがあります。私の住むフランスではボックのニブを販売しているところが見つからず、ドイツで購入して送ってもらいました。ボックのニブは素材や色など多くのバリエーションがあるので、簡単に買えるのならば色々とカスタマイズして遊んでみたいのですけれどね。
リリプットと同じというのが気になる!?
カヴェコでは多くの万年筆にボックの060ニブが搭載されています。
060は小さめサイズのニブになります。このニブがカヴェコスポーツに、ディア2に、そしてリリプットなどにも使われています。
リリプットは手のひらに収まるような小型万年筆です。そのリリプットにぴったりサイズのニブを、ディア2にも適用するとはなんだかなあ、と思ってしまう人も中にはいるようです。
比べてみます。写真は上がディア2、下がリリプット(ファイヤーブルー)です。

ディア2だけを見ていれば、まあこんなものかなと思うでしょう。でもリリプットを並べると、ディア2のニブはもう少し大きくてもいいような気もしてきます。

ディア2に使えるのは076番と180番
ディア2のニブをボックに換えるにあたり調べてみたところ、076と180の2つが候補として上がってきました。
060、076、180の3つのユニットはペン芯の直径がいずれも5mmであり、060使用のカヴェコ万年筆であれば問題なくどれでも装着できます。
問題はキャップが閉まるかどうか
ただ問題となるのは、ニブが大きくなることで果たしてキャップが閉まるかどうか。これなんですよね。カヴェコの万年筆のニブを大きなものに換えたくても、キャップが閉まらなくなってしまうものがほとんどみたいです。
そんな中、情報によればディア2なら076か180のニブに換えても大丈夫とのことでした。
076と180は、060よりも大きなサイズのニブになります。実際の数値は以下の通りです。
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060を基本に考えると、076は横にも縦にも大きくなります。180は060と同じ横幅のまま、縦に長くなります。そして076と180は縦の長さが一緒です。
万年筆で076が適用できるならば、180も問題ないということになります。
ちなみにディア2と似ているスチューデントは少し小さいためにキャップが閉まらないのだそうで、と言っても試していないので分かりませんが。カヴェコスポーツなども難しいのかもしれません。
076番に換えるとどう変わる?
076と180のどちらにしようか。せっかくなので060に比べて縦横どちらにも大きい076にしました。
注文するにあたり、個体によるちょっとしたサイズの違いでキャップが閉まらなかったらどうしようとふと思いましたが、結果は問題なしでスムーズにキャップの開閉ができました。
左が076、右が060です。サイズの違いが見て取れます。


060 :

076 :

確かに大きいニブの方が見栄えが良くなります。

ただ筆記の感覚については、そんなに変わらないというかそれほど違いはないように思います。その点はちょっと残念でした。まあニブがちょこっと大きくなる程度ですからね。
250ニブくらいまで大きくなれば、060に比べ筆記の感覚は明らかに変わります。流石にディア2に250は装着できないですけれどね。
左から060、076、250です。

060と250です。

必ずしもニブが大きいほど書きやすいとは言えず、この辺は好みによります。私は大きいニブも好きです。
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知るとやってみずにはいられない…
興味からボックのニブに換えてみました。見た目が変わり確かに大きい方が見栄えしますが、他方、書き味はそれほど変わりませんでした。でもこういうプチ改造、私は好きなのですごく楽しめました。そもそもこういう話ってネットで接しなければ気にしなかったのに、一度見聞きしてしまうとやってみたくなるのが人の性(さが)というもので…。私みたいにディア2のニブをボックに交換した人は海外では結構いるのかもしれません。いつかまた別の色(赤とか紫とか色々あって面白い)や材質のニブにも換えてみたいと思っています。