元祖!BICボールペン【ビック クリスタル】レトロな雰囲気がおしゃれ
こんにちは、クリポンです。
ボールペン「ビック」をご存知でしょうか。フランス発のメーカーで、フランスでは、各家庭に必ず1本はあると言っても過言ではありません。
もちろん我が家でも、ビックはボールペンだけでなく、シャープペンやら鉛筆やら転がっています。低価格なのに使いやすくて書きやすい。学校でも職場でも、あちらこちらで見かけるのがビックなのです。
今回は発売から半世紀以上経った今なお、世界で愛され続けるボールペン「ビック クリスタル」についてお届けします。
「BIC cristal」世界で売れている油性ボールペン
BICはボールペンの代名詞
「ビック クリスタル オリジナル」のボールペンです。

フランスでは、ビックの名はボールペンの代名詞のように使われているんですよ。ボールペンのことを、どこのメーカーのものだろうが「ビック」と呼ぶ人が結構います。それだけ親しまれているという証拠ですね。
以前記事に書きましたが、メーカーに関係なく、蛍光ペンのことを「スタビロ」と言う人も多いです。なんとも面白い現象です。
日本でも、例えば食品保存のためのラップフィルムのことを「サランラップ」と言ってしまったり…。どこの国でも同様のことは、ままあることです。
(*「サランラップ」は旭化成が販売するラップフィルムの商品名です)
細字のビック クリスタル オレンジ
フランスで購入したビックのボールペン(左)と、ついでにシャープペン(右)です。

1950年に販売開始されたビッククリスタルは、無色透明の軸でした。その後、1961年にはオレンジ軸が登場し「ビック オレンジ」と呼ばれました。
違いは何かというと、ビッククリスタルのボール径を、少し小さくしたのが「ビックオレンジ」です。

現在ビックオレンジは、ボール径0.8mmに作られています。無色透明軸は1.0mmです。
– オレンジ軸 : 0.8mm(0.7mm)
– 透明軸 : 1.0mm以上
今では種類が増え、ビックのキャップ式ボールペンには、4種類(0.8mm, 1.0mm, 1.2mm, 1.6mm)が存在します。
0.8mmです :
1.0mmです :
1.6mmです :
ビッククリスタルには現在15色のカラー芯が存在します。
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ビック クリスタルはどんなボールペン?
超軽量のボールペン
ビッククリスタルはとても軽いボールペン。重さはたった5.8gと、鉛筆並みです。筆箱を重くしたくないときは、ビックを入れるに限ります(笑)。
軸は6角形を取り、軸の太さはほぼ鉛筆と同じ。鉛筆を意識しているのかもしれませんね。

透明軸なので、インクの残量が一目でわかり便利です。

滑らかな書き味
4本のビックオレンジで、試し書きをしてみました。

低価格ながらも安定して滑らかに書ける、こんなところに人気の秘密があるのでしょう。
ボール径0.8mmの線幅は細めで、小さな文字も簡単に書けます。ビックの4色ボールペン0.8mmも持っていますが、写真と同じくらい細いです。
芯の菅の中には0.4gのインクが入っており、2km以上の線を書けるとのこと。使い終わったら芯を替えることも可能です。

2つの穴がある理由は?
1. キャップの穴
誤ってキャップを飲み込んでしまうと、穴がない場合は窒息を引き起こす恐れがあります。未然に防ぐため、国際的な安全基準として、キャップに穴を開けることが定められています。

2. 軸に開けられた穴
軸の外側からと内側からの空気圧を調整し、スムーズにインクをペン先に届ける役割があります。

ビック クリスタルの歴史
19世紀末にボールペンの原型が登場
ボールペンの発明は19世紀末のこと、1888年にアメリカ人のジョン・ラウド(John.J.Loud)が特許を取得したことに始まります。しかしインク漏れなど欠点があり、日常使いとするには程遠いものでした。
その後、様々な人によってボールペンの改良が進められたものの、なかなか成功しませんでした。ようやく現在の形に近づけたのが、1938年に特許を取ったハンガリー人のビーロー・ラースロー(Bíró László József)でした。

1950年「ビック クリスタル」発売
フランスでは、1945年にマルセル・ビック(Marcel Bich)とエドゥアール・ビュファール(Edouard Buffard)が、PPAという名の会社を設立しました。PPAとは「Porte-plume, Porte-mines et Accessoires」の略で、「万年筆、シャープペン、文具アクセサリー」の意味です。
PPAは1949年に、ビーロー・ラースローのボールペン特許を買い取りました。その後改良を重ね、1950年に「ビック クリスタル(bic cristal)」の名で、ボールペンの販売を開始。万年筆に変わる書きやすい筆記具として、飛ぶように売れていきました。
BICとは、Marcel Bichの名前から取ったものです。

1953年には会社名を、ボールペンと同じBICに改めました。世界のどの言語でも発音しやすく、覚えやすいという理由もあったそうです。
その後世界各地に進出していき、1965年に日本市場への参入を果たしています。
万年筆からボールペンへ
ところでフランスでは、ビッククリスタルの登場は、教育の場に大きな変化をもたらしました。フランスの学校では以前より、万年筆(つけペン)の使用が義務付けられていました。便利なボールペンの登場は、万年筆に取って代わることになったのです。
とは言え、1950年にビッククリスタルが発売された後も、国は学校でのボールペン使用を許可しませんでした。正しく書くことを学ぶのに、万年筆にまさる筆記具はないと考えられていたからです。また経済的に豊かな家庭の子のみがボールペンを使い始めるなど、クラスの中で不平等が起こるのを危惧したようです。
ようやく1965年に、国民教育省が学校でのボールペン使用を許可し、瞬く間に学校でボールペンが広まりました。これを機にビックの売り上げも急増したのです。
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おまけ : 子供が使うつけペンとは?
学校で使われていたという「つけペン」。一般につけペンのペン先には様々な種類がありますが、学校で使用されていたのはこのタイプです。

Sergent-Major(セルジャン-マジョール)と呼ばれるペン先です。

0.8mm :

1.0mm :
1.6mm :
賛否両論ある使い捨てボールペン
便利な使い捨てボールペンとして一世を風靡したビック。しかし昨今の環境問題への意識の高まりにつれ、ビックにも少なからず問題が出ているというような記事をどこかで読みました。プラスチックの使い捨ては、現在においては決して褒められることではないからです。
記事の中でも書きましたが、今のビッククリスタルは替芯が使えます。じゃあフランスでビックの使い捨てがなくなったかというと、そうでもないようです。替芯の値段が高くて、ボールペンそのものを買うのと、さほど値段が変わらないのです。実際にビックのようなボールペンは、芯の部分に価値があり、キャップと軸にはそれほど製造費用がかかっていないのでしょうね。
替芯とボールペンそのものに値段の違いがなければ、多くの人は替芯を買わずに、使い捨てボールペンとして利用し続けるでしょう。難しく悩ましい問題だと思います。